私は学校の教員をしています。生徒に配るプリントなどを印刷するのですが、どうしても印刷ミスや余分に印刷した分の余りなどで、たくさんのロスが出ます。
学校には「裏紙」がたくさん
表には印刷されていますが、裏は真っ白。ですから、そちらの面に印刷をするなど、みんなで積極的に再利用を心がけています。
しかし、それでもたくさんの「裏が白い紙」いわゆる「裏紙」が残っているんです。
裏紙を計算用紙などに利用
私は数学を担当していますので、問題を解くときには絶対に計算用紙が必要です。
テスト前など、生徒はたくさんの問題を解きます。その際、たくさんの計算用紙が必要になります。
計算用紙には、この裏紙が最適です。印刷室に入り、裏紙を右手でひとつかみ。いっぱい計算したら、あとはリサイクルボックスにポイ。
計算用紙ですから、残しておく必要はありません。
こうして使っている裏紙を、束ねてメモ帳やノートのように加工できないかと考えて作ったのが、通称「ビリビリ」です。
ビリビリの作り方
裏紙をまとめて作るメモ帳「ビリビリ」の作り方をまとめました。
裏紙をひとつかみ。厚すぎると弱くなるし、薄すぎるとすぐ無くなります。100枚弱ぐらいがちょうどいいでしょう。
その裏紙をキレイに揃えます。特に、のりで綴じる辺はきっちり揃えます。
揃えたら、裏紙の束を表、裏から強い力で圧縮し、固定します。せっかく揃えた辺がズレないようにするためです。
私はこのとき、2枚の板で作った器具を使っています。紙がキレイに揃い、ズレないのでとてもいい感じです。
固定したら、揃えた辺の上から木工用ボンドを塗ります。厚すぎると乾くのに時間がかかりますし、薄すぎるときちんと接着できません。全体にまんべんなく、均一に塗り広げます。
ボンドを塗った上から、トイレットペーパーかティッシュペーパーを貼り付けます。
トイレットペーパーならシングルタイプ、ティッシュペーパーは2枚重なっているうちの1枚でいいです。
前もって、メモ帳の厚さと同じくらいの幅に切っておくのが効率よく作るコツです。
この作業はボンドが乾く前にしなければ意味が無いので、ボンドを塗ったらすぐに貼り付けます。
あとは乾くまで待つ。ボンドを塗った辺がカチカチに固まったら出来上がりです。
生徒に大人気
こうして作ったメモ帳、とにかく生徒たちに大人気です。
「先生、ビリビリはありませんか?」「ビリビリを作ってください」「作り方を教えてください」というリクエストは、常に投げかけられます。テスト前などはそのリクエストが倍増します。
私がこのメモ帳を作るときは、大体一度に30冊ほど作ります。たくさん作って、職員室から教室に運んでいると、教室まで無事に持っていけるのは5,6冊ですね。
教室にたどり着く前に生徒に取られて無くなります。
このメモ帳「ビリビリ」が人気の理由をいくつか考えてみました。
裏紙だから気軽に書ける
紙は大切な資源なのですが、言っても裏紙です。
家の新聞の折込チラシの裏にいろいろ書くのとおなじ感覚で、気軽にいろんなことを書くことができるようです。
数学や理科の計算、英単語や古典文法、漢字を暗記するための書きなぐりなど、買ったノートを使うのはちょっともったいないと思うような用途に、ビリビリは大活躍しています。
計算のための書きなぐり、暗記のための書きなぐりは、保存しておく必要はありません。書き終わったら捨てるだけです。
とは言っても、紙は大切な資源。きちんとリサイクルボックスに入れます。
破るときの音が快感
「ビリビリ」の名の由来は、その紙を破るときの音です。
木工用ボンドで留められた紙は、一枚剥がすときに「ビリッ」という音がします。この音が、大変心地いいのです。
テスト前の勉強では、すごく長い計算をします。この計算が終われば、答えが出る。でも面倒な計算だ。
そう思いながら必死に計算をします。やっと計算が終わり、答え合わせをして、答えがあっていたときは、すごく達成感があります。
そのとき、このビリビリを「ビリッ」と破くと、びっくりするほどテンションが上ります。
「よし、次の問題だ!」と意欲が湧くんです。この音は、聞いた者にしかわかりません。テスト勉強もはかどり、成績も上がる一方です。
破らずに綴じたまま使う生徒も
このメモ帳「ビリビリ」は木工用ボンドで閉じてあります。もともと破くために作ってあるのですが、強度は結構あります。
そのため、ビリビリを破くことなく、レポート用紙やノートのように使っている生徒もいます。
一枚書き終わったら、破くのではなく、そのまま裏に折り返し、次の紙に書き始めます。
このノートのような使い方が便利だと言っている生徒もたくさんいます。
ただ、裏紙をノートとして使うのは、悪くはありませんが、提出用には不向きですね。
とにかく大人気
裏紙を綴じただけのメモ帳「ビリビリ」がとにかく大人気です。現役の高校生はもちろんなんですが、高校を卒業した大学生が貰いに来たりすることもあります。
文化祭や体育大会のときなど、学校に来たときに職員室に立ち寄り、近況報告よりも先に「ビリビリをくれ」と要求する卒業生がいます。
高校生のときに、テスト前はビリビリを使って勉強していたのが習慣になり、大学生になってもその習慣が抜けないのだそうです。