中学生、高校生の皆さん、数学の勉強のやり方を数学の先生が教えますよ!
教科書を読んでる
わたしは高校の数学の教員をしています。
テスト前になると、試験範囲の授業が終わってしまったら、あとは生徒に時間をあげます。自主的に勉強し、質問を受ける時間にすることが多いんです。
そんな時、生徒が勉強する姿を眺めていると、結構いるんですよ。教科書を読んでいる子が。
数学の教科書は読んでも勉強になりません
あのね。数学の教科書って、読んでも成績上がらないんですよ。知ってました?
数学の教科書には、正しいことが書いてあるんです。間違ったことが書かれていないんです。基本的に。
教科書に間違ったことが書いてあったら、教科書会社の人たちは怒られちゃいますからね。
正しいことが順を追って書かれていて、それを読んだら、そりゃ納得しますよね。「ふむふむ、なるほど」って。
解った気になっちゃう
教科書を読んで、「なるほど」って納得したら、そりゃ解った気になっちゃいますよ。それで勉強した気になっちゃう。
でもね。まっっっっったく勉強になっていないってこと、分かりますか?
例によってたとえ話
イチローが講演に来た・・・とする
大リーグのイチロー選手が、オフを利用してわたしの学校に講演に来てくれました。
日米通算4000本安打のその技術を、わかりやすく説明してくれました。
足をこう上げて、腕をこう曲げて、頭を動かさず、膝をこう曲げて・・・
わたしは全てを理解しました。「なるほど!」
次の日、わたしはプロ野球のテストを受けに行きました。イチロー選手が教えてくれたとおりにやってみると、いとも簡単にプロの球を打つことができました。
無事にプロのテストに合格。来年からはジャイアンツの4番として活躍します。1年で2000本のヒットを打つことが目標です。
羽生善治に将棋を習った
羽生善治名人に将棋を教えてもらいました。
駒の動かし方、戦略、戦術、いろんなことを教えてもらい、全てを理解しました。「なるほど!」
そこで、羽生名人に勝負を挑み、教えてもらったとおりにやってみたところ、勝っちゃいました。
今週末からプロ棋士として活躍します。年内に全てのタイトルを獲得するのが目標です。
「わかる」と「できる」は違う
どうでしょう。こんなの、ありえないって分かりますよね。教科書読んでる人は、これと同じことやってます。
「わかる」ということと、それが「できる」というのは全く別のことなんです。
いや、教科書読んでるようなやつは、「わかる」の部分すらあやしい。
生徒からよく言われるセリフです。
先生から教えてもらっているときは、すごくよく分かるんですけど、家に帰って自分でやると、全然できないんです(泣)
これね、教員やってると、超☆あるあるなんです。
授業で理解はしたのかもしれない。教科書読んで納得はしたのかもしれない。
でも、できるようにはなってないんですよ。
イチローから技術を習っても、練習しなければできるようにはならないんです。当たり前。
羽生名人から将棋を教わっても、血の滲むような努力をしなければ強くならないんです。当たり前。
数学も同じ。やり方を理解しても、練習しないと問題は解けるようになりません。
数学の勉強の仕方
ということで、結論です。
数学の勉強をしている皆さん、教科書を読みましょう。何も考えずに教科書を読みましょう。
あなたが教科書を読んでいる間に、わたしは城南高校の生徒に「教科書なんか読んでも、できるようになるもんか!」と指導しますから。教科書なんか読まずに、たくさん問題を解くように指導しますから。
え!?教科書読むのやめたって?ダメだよ!そんなことしたら成績が上がっちゃうじゃん。
わたしは成績が上がる勉強の仕方を教えるなんて、一言も言ってませんよ。城南高校の生徒が有利になるような勉強の仕方を皆さんに教えているだけです。はい。