「あたりまえ」であることに疑問を抱くのは難しいことです。そしてそれを説明するのはもっと難しいことです。
「マイナス」かける「マイナス」は「プラス」?
マイナスの数を学習するのは中学校ですね。みなさん中学校のときに「マイナスとマイナスをかけ算したらプラスになる」と習ったのではないかと思います。
それが「当たり前」と思っている人がほとんどではないかと思います。いえ、「当たり前」ですよね。
でも、これって当たり前じゃないです。
まずは約束が大事
物事を論じるときには、まずは約束が大事です。そもそも-1って何なのか。1って何?0とは何か説明できますか?
0とは
0とは、足し算をしたときに、相手がそのまま答えになるもの、というのが約束です。
つまり、
が0の約束なんです。
1とは
1とは、かけ算をしたときに、相手がそのまま答えになるもの、というのが約束です。
つまり、
が1の約束なんです。
マイナスとは
がマイナスの約束です。これを簡略化して
という「引き算」になるんです。
分配法則
いわゆる「展開」「因数分解」ですね。
は「使ってもよい約束」なんです。
1×0=0は約束ではない
上の4つだけが約束です。(厳密には、足し算とかけ算の約束をしなければならないんですが、今回は省略します。)
つまり、みんなが当たり前だと思っている「0は何をかけても0」は約束に入っていません。約束ではないんです。
でも、
つまり、
したがって
でも、まだ
ややこしいので、
すると
両辺から
よって
つまり
(-1)×(-1) は何故+1なのか
それでは本題です。
です。分配法則は使ってもいいので、共通因数の
です。中カッコのなかは
です。先ほど、
です。つまり、最初の式から全部つながって
です。この両辺に1を足すと
が出てきます。
よくわからん
ここまで読んでくださった方は、内容に興味を持ち、数式を一行ずつ理解しながらお読みいただけたのだと思います。
しかし、世の中の9割以上の方は
マイナスかけるマイナスがプラスになるのは当たり前だろう!
こんな面倒でよく分からん話、ついて行けない!
だと思うんです。それでいいと思います。
ただ、「こんな面倒でよく分からん話」が楽しくて仕方のない人種もいるんです。それが「数学奇人」なんです。