「分かる」ようになってから「できる」?それって逆ですよ。
生徒たちはすぐに「分からない」って言うんですけど、分からなくてもいいじゃないですか。
「分かる」と「できる」
生徒が質問に来ると、すぐに言うんです。
先生、分かりません。
分からない?ちゃんと勉強したのか?
いえ、分からないからできません。
・・・これって、違うと思うんです。
こんな生徒もいます。
先生、分かりました。バッチリです。
そうか。じゃ、テストもバッチリだな。
任せてください!
テストが終わると、
先生、できませんでした。分かってたんですけど・・・
こんなの、超☆あるあるなんです。
「分かる」と「できる」については、以前にも記事にしました。
https://hiro365.tarohiro.com/2015/10/08/study/
今回は、「分かる」と「できる」はどっちが先か、というお話です。
分かってからできるようになる?
生徒が主張する「分からないからできません」は、明らかに間違いです。
小学2年生の子どもが、自然数と自然数の積の意味を全員が理解していると思いますか?でも、「ににんがし」「さぶろくじゅうはち」ってつぶやいてます。分からなくてもできるんです。
わたしだって、数学を教えて飯を食ってますが、生徒に教える「積分」の意味を完全に理解できているかというと、自信ありません。たぶん分かってませんよ。でも、積分の計算はできます。分からなくてもできるんです。
数学だけに限った話じゃないですよね。自転車に乗れる子は、どうやったら転ばずに乗れるのか、ほとんどの子が説明できないと思うんです。一所懸命に練習したら乗れるようになった。理屈は分からない。分からなくてもできるんです。
分かる授業?そんなもの要らない
やたらと大人が言うんですよね。「分かる授業を展開しなさい」「分かる喜びを味わわせなさい」。
それが子どもに波及して、「この授業は分からない」「分からないから先に進めない」「分からないからできない」。
くそくらえですね。何を勘違いしているのか、と。分からなくてもできることはたくさんあります。
「分かる」から「できる」に進化するのは、それは理想かもしれません。でも、全てがそうはいかないことを私たちは知っています。
先に「できる」ようになれ
分からないなら分からないで、仕方ないじゃないですか。「分からなかったら、先に進んじゃいけない」という決まりはありません。「分からなかったら、やっちゃいけない」という決まりはありません。
分からないんだったら、それはそれで置いといて、先にできるようになっちゃいましょうよ。
かけ算の意味が理解できてなくても、九九を暗記して言えるようになることは可能です。
微分の意味が理解できていなくても、微分の計算をマスターすることはたやすいことです。
自転車のしくみが理解できていなくても、懸命にペダルをこいで自転車に乗れるようになることはできます。
できるようになってから分かること
数学の基本的な内容であれば、少々分からないことであっても、4~5問の問題を解けば、分からなくてもそこそこできるようになるんです。そんなもんです。
できるようになって、問題の流れが身に付くと、何となく分かってくることがあるんですよね。「これって、こういうことだったのか。」って感じで。
できるようになってから分かることってたくさんあるんです。
先に分かってしまったら
人間とは傲慢な生き物です。説明されて分かってしまったら、うぬぼれちゃうんですよね。
先生、分かりました!テストも大丈夫です。任せてください!
これは完全にこのパターンです。
分かっちゃうと、勉強しないんですよね。凡人は。わたしも含めて。
極論すると、先に分かっちゃいけないんですよ。凡人は。
結論!分かる授業はやっちゃいけない
結論として、分かる授業はやってはならないんですよ。授業で分かっちゃうと、勉強しなくなっちゃうんです。
「分からなくてもいいから、できるようになれ!」を生徒に徹底し、まずはできるようにさせる。
できるようになってから意味を説明し、分かってもらえばそれでいいじゃない。
最後まで分からないままでは、ちょっと乱暴かとも思いますが、自分で分かるまで待つのも教育なのかな、と。
できてから分かる。これが正しい順番なのかと思うんですが、いかがでしょうか。