Z世代の感覚に触れてみた

Z世代の感覚

こんにちは。今日も元気にまったり更新。ヒロタです。

わたしは高校で数学の教員をしているんです。

先日の授業で、いわゆる「Z世代」の感覚に触れることがありましたので、紹介しますね。

複素数の授業

数学の「複素数」の授業でした。

生徒は初めて「虚数」の存在を知る授業でした。

今まで出てきた「数」の復習をするね。
数学は、まず「モノを数える」ことから始まったのは間違いない。1,2,3,・・・のように、物を数えるときに使う数を「自然数」と言います。じゃ、自然数って英語では何という?
ナチュラル!
ネイチャー!
・・・いろいろ出てきてるけど、そうだね。「natural number」です。

といった風に、自然数からの数の拡張を復習しながら、それを英語で言わせるという流れで話をしていました。

モノだけ数えてたらよかった時代は過ぎて、人類は取引を始めます。人がまだウホウホだったころ、「俺のリンゴをやるから、お前のニンジンをくれ」というように、取引。すると、人間は「足りない」という概念に気づくんだね。マイナスの数の登場です。
でも、このときにはまだ「0」の存在に人類は気づいてないんだ。「0」って難しいんだよ。だって、0って「無い」ってことなのに、その「無い」があるんでしょ。「0」の発見はずっとずっと後の時代の話です。
自然数にマイナスの数を合わせて、「0」まで含めた数を「整数」と言います。じゃ、英語で何という?

しばらく沈黙でした。微妙にざわついてました。

そんな中、一人の勇敢な生徒が

コンディション!

いいですね!いろいろと想像して、なんとか発言しようとするその姿勢。でも・・・

なんで?
「整える」っていう漢字だから・・・。

なるほど。直感的です。すばらしい。でも間違い。とりあえず褒めた後で、

整数は「integral number」って言います。「integer」とか言うね。
そして、人はモノを分けることを覚えます。一つのスイカを5人で分けた一つ分、つまり分数の登場です。有理数ですね。英語では?

このあたりで、インチキする奴が出てきます。電子辞書の登場です。

キュー・・・キュオ・・・なんだこれ?
電子辞書使ってインチキして、読めないって恥ずかしすぎるだろ(笑)それは「quotient」。「クォーシェント」です。有理数は「quotient number」とか「rational number」とか言います。
人間ってどんどん頭が良くなって、定規で測れない長さを考えられるようになります。1辺の長さが1の正方形の対角線の長さは√2です。つまり、無理数の登場です。有理数と無理数を合わせて「実数」と言います。「現実の数」で実数。英語では?
リアル!

これはすぐ出ました。

そう!実数は「real number」です。

虚数の登場

ここで、x^2=-1 を登場させます。

これってどう思う?ありえないでしょ。2乗ってことは、同じ数を2回かけるってこと。マイナスとマイナスのかけ算はプラスだし、プラスとプラスのかけ算はやっぱりプラス。同じものをかけてマイナスになるなんて、ありえないでしょ。
でも、こんな数があるんですよ。いや、正確には無いんだけど。この世には無い。あの世にある。現実の数ではなく、想像上の数なんだ。「虚数」と言います。じゃ、英語では何というと思う?

すると、複数の生徒から口々に飛び出した単語に、強いジェネレーションギャップを感じました。

バーチャル!

デジタルネイティブ

いやあ、さすがデジタルネイティブですね。わたしが高校生のときに「バーチャル」なんて言葉はありませんでしたよ。

少なくともわたしの頭の中には存在しない単語でした。バーチャル?何それ?年老いた女性?

彼らって、生まれた時からスマホがあって当たり前の世代です。

靴を飛ばして、裏返しになったら明日は雨、なんてことはやったこと無いはず。明日の天気なんて、検索すればすぐ出てきますからね。

連絡したいお店の電話番号を探すために、分厚いタウンページを必死でめくったことなんて、絶対やっとこと無いはず。お店の電話番号なんて、検索すればすぐ出てきますからね。

エッチな本の見てはいけない部分が黒く塗りつぶされてるところを、バターでこすったら黒塗りが消える、なんて都市伝説に騙されて必死に印刷物にバター塗った経験なんて、奴らには無いはず。検索すれば・・・。おっと。

そんな彼らにとって、「現実でない」から「バーチャル」という単語が即答で出てくるのは、とても自然なことなんでしょうね。

ちなみに

ちなみに、虚数は英語で「imaginary number」。「想像上の数」です。

虚数と実数を合わせて「複素数」。「complex number」です。