数式を「打つ」と「書く」。どちらが優れているか検証しました。




書くのは疲れる

わたしは数学の教員をしています。

数学の教員をしていると、当たり前ですが数式をたくさん書かなきゃならないんです。

ペンを使って紙に字を書くのって、疲れるじゃないですか。

わたしはペンを軽く持てない人なんです。書くときってどうしても力が入ってしまいます。

だから、書くとすごく疲れるんです。10分も書いていると、腕がパンパンになっちゃいます。ちょっとした筋トレです。

紙の上に考えたこと、伝えたいことをアウトプットする方法として、ペンを使うやり方とキーボードを使うやり方があります。

どちらが優れているのか、検証してみました。

検証の基準

「どちらが優れているか」を検証する基準として、

  • 入力の速さ
  • 出力の美しさ

があげられます。「速くてきれい」。これに勝るものはありませんよね。

この2点について考えてみました。

日本語

わたしの場合、日本語を書くのなら、圧倒的にキーボードの勝利です。

まず、スピードは手書きよりもキーボードが間違いなく速い。

どんなに殴り書いたとしても、キーボードを叩く方が速く書く自信があります。

そして、アウトプットは間違いなくキーボードの圧勝。

どんなに丁寧にゆっくりきれいに書いたとしても、プリンターから出てくる明朝体やゴシック体の文字よりきれいに書くなんてわたしにはできません。

数式

わたしは数学の教員です。前述のように、数式を書くことがとても多い。

話が数式となると、事情が変わります。

数式を書くスピードとなると、これはペンの圧勝です。

とにかく、自由度が違う。キーボードで分数を打つのは結構大変ですよ。キーボードで \displaystyle \sum の上下に k=1 とか n とか打つのは至難の業です。

ペンならさらっと書くだけです。

アウトプットは間違いなくコンピュータの勝ち・・・と言いたいところですが、これも微妙なんです。

LaTeX

数学の教員をしていると、職員室に教科書会社の方がよく営業に来られます。

最近では減りましたが、ちょっと昔は数式を入力するソフトを開発したから使ってくれ、という営業が多かったんです。

その際にわたしが必ず試してみる式があります。

\displaystyle \lim_{n \to \infty} \dfrac1n \sum_{k=1}^n f\left(\dfrac{k}n \right) =\int_0^1 f(x)dx

これと

x=\dfrac{-\dfrac{b}2 \pm \sqrt{\left( \dfrac{b}2\right)^2-ac}}{a}

これです。

これらがきれいに打てるソフトって、まず無かったんですよ。あったとしてもすごく入力に時間がかかったり。

わたしが使っている数式を書くソフトは \LaTeX です。これ以外の選択肢はありません。

このブログで数式を書いていますが、WordPressのプラグインで \LaTeX の入力ができるものがあるんです。それを利用しています。

\LaTeX でない数式ソフトが出した数式は、下手すりゃ手書きより見苦しいものがあります。

数式ソフトは \LaTeX の一択。百歩どころか一億歩くらい譲って数研出版のStudyaid。それでもかなりの周回遅れです。

手書きのアウトプットの限界

数式をパソコンで出力するのが難しいという話をしましたが、やはり手書きには限界があります。

わたしが高校生のとき、中間考査だったか期末考査だったか、数学のテストが手書きのテストだったんです。

もう30年ほど前の話ですが、その頃は数学のテストが手書きなんて当たり前でした。

そのテストで、x と書かれたところが、わたしには「2」に見えたんです。

当然、そこが「2」であるとして、そのまま解きました。

返却された答案は、当然不正解の採点。速攻で抗議に行きました。

わたし
先生!この「x」が「2」に見えたんですよ。2に見えますよね。2だったら、この答えで正解でしょ!

先生
う~ん。この問題は○○先生が作られたものだから、○○先生に聞いてみないとなあ。

ということで、○○先生の所に行きました。
先生
○○先生、こいつがここが「2」に見えたっていうんですが・・・。

わたし
はい!2にしか見えませんでした!

○○先生
なんだと!?それなら答えに「k」が残っているはずだ。

わたし
はい、残ってますよ。

もうね。かなりのドヤ顔でした。
○○先生
う・・・。残ってるのか。じゃ、正解にするしかないなぁ。

ということで、正解をいただきました。

わたしはそのころから学校の教員になりたいと思っていましたので、「テスト問題は手書きで作っちゃいけない」とそのときに強く思ったのを覚えています。

結論

ということで結論です。

日本語

日本語を書くのであれば、間違いなくキーボードです。

スピードも出力も、文句なしでキーボードです。

手書きにするのは手元にパソコンがないときのメモだけ。

メモですらパソコンやスマホを使うことも多かったりします。

数式

数式を書くのは、計算をしたり考えながら書く場合にはペンですね。

自由度が違うし、やはり手で書くよりも速く入力することはできません。

先ほど紹介した

\displaystyle \lim_{n \to \infty} \dfrac1n \sum_{k=1}^n f\left(\dfrac{k}n \right) =\int_0^1 f(x)dx

ですが、\LaTeX で入力すると

\displaystyle \lim_{n \to \infty} \dfrac{1}{n} \sum_{k=1}^{n} f\left(\dfrac{k}{n} \right) =\int_0^1 f(x)dx

ですよ。さすがに手で書くのと同じスピードではムリです。

しかし、\LaTeX があれば出力は文句なしにパソコンです。生徒に「x」と「2」を間違われるなんて、そんな無様な真似はしません。

手書きの良さ

もちろん、手書きには手書きの良さがあります。全てをパソコンでやってしまおうなんてことは考えていません。

しかし、優れた筆記具という観点からみると、ペンよりもキーボードの方が優れた面が多い。そんな気がします。

キーボードは文具

ということで、わたしはキーボードは筆記用具だと思っているんです。

つまり、キーボードは文具なんです。

問題なく書けるペンを持っていたとしても、より書きやすいペンがあったらそっちを買って使ったりするじゃないですか。

キーボードも同じだと思うんです。

最近、新しいキーボードを買ったんです。

「ハッピーハッキングキーボード」といいます。

「Happy Hacking Keyboard Lite2」といいます。

このキーボード、かなりマニアックなんですが、すごく使いやすいんです。

まず、小さい。わたしの持っているノートパソコンの横幅とほぼ同じですね。

写真でははみ出して見えますけど、実際にははみ出してません。結構厚みのあるキーボードなので、はみ出して見えるんですよね。

次に、打鍵音が心地良い。昔ながらのカタカタと子気味良い音で、「打ってるぞ」って感じでテンションが上がります。

静かな場所で使うと、少しうるさいかもしれませんね。

さらに、キートップを見てください。「あ」とか「い」とかのかな文字が印刷されてないんですよね。

余分なものが全くないんです。もちろんテンキーなんかもついてません。

キーボード上部のファンクションキーもありません。

不便と言えば不便ですが、慣れるほどに使いやすくなっていくキーボード。最高です。

ハッピーハッキングの製品の中には、「無刻印」のモデルもあるんです。

キーボードに文字が刻印されてないんです。四角いキーが並んでるだけ。

叩いたら出る文字は覚えてるから刻印されてなくていいよ~んってやつです。

これはさすがにマニアックすぎて手が出ない。

でも、このキーボードに変えてから、文字を打つのが楽しくなりました。疲れなくなりました。そしてスピードが上がった気がします。

みなさん、キーボードは筆記用具です。自分の手に合うものを使うことをお勧めします。

そして数式は \LaTeX です。

雑感

Posted by Hirota