マイナス×マイナスがプラスになる理由を解説してみた

中学校の数学

みなさん小学校で算数を勉強したじゃないですか。

電線にスズメが10羽とまってて、それを猟師が鉄砲で2羽撃ち落としたら、残りが何羽かっていうあれです。

10-2=8 で答えは8羽っていうあれです。

銃声にびっくりして飛んで逃げるスズメの感情なんかこれっぽっちも考慮しないあれです。

ここで、「引き算」をしてるじゃないですか。引き算って、本当は負の数を足してるんですよね。

でも、負の数を勉強するのは中学に入ってからなんですよね。実はここで微妙にごまかしが入ってます。

で、中学に入ってマイナスの数を習って、(-1)\times (-1)=1 って習うんですよ。

中学校の先生、すげえ

ホントにね。中学校の先生ってすごいと思いますよ。

だって、わたしは中学生に「マイナス×マイナスがプラス」ってのを説明しろと言われてもできませんもの。

どうやって納得させろってんだ。無理ですよ。こんな難しい内容、中一がやることじゃない。

端折った言い方をすると、数の世界って、演算はadditionとmultiplication、つまり足し算と掛け算しかないんですよ。

その両方を実装している数の集まりのことを「環(かん)」っていうんです。

わたしたちの知ってる「整数」とか「実数」ってのは「環」です。

0

環には「0」があるんです。

0とは足し算したときにその答えがもとの数と変わらないものです。

つまり 0+a = a+0 =a for each a \in R ってやつです。

1

環には「1」があるんです。

1とは掛け算したときにその答えがもとの数と変わらないものです。

つまり 1\cdot a = a \cdot 1 = a for each a \in R です。

分配法則

環では「分配法則」が必ず成り立つんです。

つまり a(b+c)=ab+ac とか (a+b)c=ac+bc です。

マイナス

環には加法に関しての逆元が存在します。

足し算して答えが0になる相手のことです。

つまり、a+b=0 のとき、b のことを -a と定めます。

1×0が0だなんて誰も言ってない

ここまでの約束で、1 \times 0 が0になるだなんてどこにも書いてないんですよね。誰も言ってない

だから、証明します。

 a\cdot 0=a(0+0)=a\cdot 0 + a\cdot 0

この両辺に -a\cdot0 を足して 0=a\cdot0

いえ~い。

マイナス×マイナスはプラス

じゃ、証明です。

(-a)\cdot(-1) +(-a) = -a(-1+1)=-a\cdot0=0

両辺に a を足して (-a)\cdot(-1)=a

ってことで、マイナスとマイナスの積はプラスになるんです。

中学の先生は、これをどうやって中学生に納得させてるんだろう。

うちの高校に入ってきてる生徒たちに聞いても、誰も説明できないんだけど。

中学生をだましてみる

てことで、厳密な証明ではなくとりあえず納得させることだけ考えた「説明」をしてみます。

わたし
世の中の全ての人が同じように「好き」か?

息子1号
は?

わたし
嫌いなやつもいるだろ。

息子1号
うん。いる。

わたし
どのくらい嫌いだ?

息子1号
東京ドーム6.02×10の23乗個分くらい嫌い。

わたし
てことは、そいつはお前にとってマイナスだ。

息子1号
そうだね。

わたし
風邪をひいて熱を出すと、辛いよな。

息子1号
うん。辛い。

わたし
てことは、熱を出すこともマイナスだ。

息子1号
そうだね。

わたし
お前の嫌いなやつが熱を出す。これってお前にとってどうだ?

息子1号
めっちゃ嬉しい!ざまあみろって感じだ。

わたし
つまり、マイナス×マイナスはプラスってことだ。

息子1号
納得!

いかがでしょう。

数学やってる者としては、全く証明にも説明にもなっていないんですけどね。

でも、中学生をだまして勉強を次の段階に進めさせるにはいいのかもしれません。はい。