わたしの日常に価値はありますか?

数学は日常生活の役には立ちません! 数学教師が言うんだから間違いない(前編)

先日の記事でも書きましたが、学生時代に一番嫌いだった教科のアンケートを取れば、ダントツで数学が1位でしょう。

数学は日常生活の役には立ちません

数学奇人たちの生態 第2回「タクシー数」

私は高校の数学の教員をしています。生徒からは「なんでこんなことを勉強しなければならないのか」「これを勉強して、何の役に立つのか」という抗議に似た質問をよく受けます。

はっきり言いましょう。数学なんか勉強しても、日常生活のなんの役にも立ちません。保証します。

ノーベル数学賞はない

ノーベル賞は、ダイナマイトを発明し、巨万の富を得たスウェーデン人のアルフレッド・ノーベルの遺言により、設立されました。

基金を設立し、その利子を毎年、その前年に人類のためにもっとも貢献をした人に賞として与えよ。

と遺言し、

の5つの賞が毎年与えられています。ノーベル賞には経済学賞がありますが、ノーベル財団からの支出ではなく、「ノーベルの名前を記念した賞」という位置づけだそうです。

このように、ノーベル賞の中に、数学賞がありません。理由は諸説あるようですが、上の遺言の中の言葉が全てでしょう。

人類のためにもっとも貢献をした人に・・・」

この言葉があって、数学賞がないということは、「数学が発展しても人類のために貢献しない」という意味でしょう。

私の経験

私は数学を教えて給料をもらっています。数学で飯を食っています。数学のプロです。

その私が、今まで生きてきて数学が生活の中で役に立ったと感じた経験が2回あります。

ケーキ6等分

ケーキを1ホール、差し入れしてもらいました。そのとき、6人いたんです。ケーキを6等分しなきゃならない状況でした。

8等分は目分量で切れますよね。「真ん中」とか「直角」は直感的にいけます。

6等分は、なかなか難しい。丸いケーキだと、中心角60度の扇形を6つ作る必要があります。

ここで私はひらめきました。 であるということを。

円の中心を目分量で見つけ、直径を切ります。

直径の端点と中心の中点、つまり直径を4等分する点を目分量で見つけます。

その点を通り、直径に垂直な直線と円周との交点に印をつけます。この印が4つできますね。この4つの点を、右上と左下、左上と右下を結ぶように切ると、この2本も直径になります。そこで、 から、3本の直径のなす角は、どの2本も  です。

この切り方で、間違いなく6等分できる!これを思いついたとき、私は嬉しくてその場で踊り始めそうになってしまいました。

もちろん、キレイに切れたんだろうって?ええ、失敗しましたとも。でも、私は満足でした。

これが数学が役に立ったと感じた1回目です。

古本屋にて

大学生のとき、バイト代が入ったので、古本屋に行ってマンガの本を大人買いしました。タッチ全26巻。一気買いです。

そのころ、BOOK OFFのような大きなチェーン店はまだ無く、いわゆる街の古本屋さんでした。

私の買おうとした本は、26冊がキレイにビニールで包装してあり、紐で縛ってありました。2820円という値段も貼ってありました。

私はドヤ顔で26冊パックの本を抱え、レジに持って行きました。レジにはバイトのお兄ちゃんがいました。

2820円を払い、持ち帰ろうとしたときに、レジのお兄ちゃんはあろうことか、その紐を切り、ビニールを破ろうとし始めました。

「ちょっと待って!なにしてるの?」

いえ、この本は総額は2820円なのですが、1巻から何巻までかは1冊100円なんです。その先は1冊120円なんです。

帳面につけておかなきゃならないんですが、それが何巻目までかが分からなくなったので、開けて確認しようと思って。

待てよ待てよ、って感じです。せっかくキレイに包装してあって、持ち帰りやすい状態なのに、バラバラにされたんではたまりません。

「100円である本がx冊だとすると、120円の本は(26−x)冊でしょ。だから、 って方程式を解けば、x=15って出てきた。ほら、15巻までが100円で、その先が120円ですよ。」

完璧です。バッチリです。中学校で習う1次方程式は、古本屋のお兄ちゃんを説得するためにあったんです。

へえ、すごいですね。でも、確認のために。

チョキ、チョキ、ビリビリビリ!結局切られちゃいました。ビニールも破られちゃいました。あーあ。

でも、私は満足でした。これが2回目です。

 

次回に続きます。

数学は日常生活の役には立ちません! 数学教師が言うんだから間違いない(後編)

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