先日の記事でも書きましたが、学生時代に一番嫌いだった教科のアンケートを取れば、ダントツで数学が1位でしょう。
数学は日常生活の役には立ちません
私は高校の数学の教員をしています。生徒からは「なんでこんなことを勉強しなければならないのか」「これを勉強して、何の役に立つのか」という抗議に似た質問をよく受けます。
はっきり言いましょう。数学なんか勉強しても、日常生活のなんの役にも立ちません。保証します。
ノーベル数学賞はない
ノーベル賞は、ダイナマイトを発明し、巨万の富を得たスウェーデン人のアルフレッド・ノーベルの遺言により、設立されました。
基金を設立し、その利子を毎年、その前年に人類のためにもっとも貢献をした人に賞として与えよ。
と遺言し、
- 物理学の分野で最も重要な発見ないし発明をした人(物理学賞)
- 化学の分野でもっとも重要な発見ないし発明をした人(化学賞)
- 生理学ないし医学の分野で最も重要な発見をした人(生理学・医学賞)
- 文学の分野で理想主義的な最もすぐれた作品を生み出した人(文学賞)
- 国家間の友好と軍隊の廃止ないし削減と平和会議の開催ないし推進の為に最も尽くした人(平和賞)
の5つの賞が毎年与えられています。ノーベル賞には経済学賞がありますが、ノーベル財団からの支出ではなく、「ノーベルの名前を記念した賞」という位置づけだそうです。
このように、ノーベル賞の中に、数学賞がありません。理由は諸説あるようですが、上の遺言の中の言葉が全てでしょう。
「人類のためにもっとも貢献をした人に・・・」
この言葉があって、数学賞がないということは、「数学が発展しても人類のために貢献しない」という意味でしょう。
私の経験
私は数学を教えて給料をもらっています。数学で飯を食っています。数学のプロです。
その私が、今まで生きてきて数学が生活の中で役に立ったと感じた経験が2回あります。
ケーキ6等分
ケーキを1ホール、差し入れしてもらいました。そのとき、6人いたんです。ケーキを6等分しなきゃならない状況でした。
8等分は目分量で切れますよね。「真ん中」とか「直角」は直感的にいけます。
6等分は、なかなか難しい。丸いケーキだと、中心角60度の扇形を6つ作る必要があります。
ここで私はひらめきました。
円の中心を目分量で見つけ、直径を切ります。
直径の端点と中心の中点、つまり直径を4等分する点を目分量で見つけます。
その点を通り、直径に垂直な直線と円周との交点に印をつけます。この印が4つできますね。この4つの点を、右上と左下、左上と右下を結ぶように切ると、この2本も直径になります。そこで、
この切り方で、間違いなく6等分できる!これを思いついたとき、私は嬉しくてその場で踊り始めそうになってしまいました。
もちろん、キレイに切れたんだろうって?ええ、失敗しましたとも。でも、私は満足でした。
これが数学が役に立ったと感じた1回目です。
古本屋にて
大学生のとき、バイト代が入ったので、古本屋に行ってマンガの本を大人買いしました。タッチ全26巻。一気買いです。
そのころ、BOOK OFFのような大きなチェーン店はまだ無く、いわゆる街の古本屋さんでした。
私の買おうとした本は、26冊がキレイにビニールで包装してあり、紐で縛ってありました。2820円という値段も貼ってありました。
私はドヤ顔で26冊パックの本を抱え、レジに持って行きました。レジにはバイトのお兄ちゃんがいました。
2820円を払い、持ち帰ろうとしたときに、レジのお兄ちゃんはあろうことか、その紐を切り、ビニールを破ろうとし始めました。
「ちょっと待って!なにしてるの?」
いえ、この本は総額は2820円なのですが、1巻から何巻までかは1冊100円なんです。その先は1冊120円なんです。
帳面につけておかなきゃならないんですが、それが何巻目までかが分からなくなったので、開けて確認しようと思って。
待てよ待てよ、って感じです。せっかくキレイに包装してあって、持ち帰りやすい状態なのに、バラバラにされたんではたまりません。
「100円である本がx冊だとすると、120円の本は(26−x)冊でしょ。だから、
完璧です。バッチリです。中学校で習う1次方程式は、古本屋のお兄ちゃんを説得するためにあったんです。
へえ、すごいですね。でも、確認のために。
チョキ、チョキ、ビリビリビリ!結局切られちゃいました。ビニールも破られちゃいました。あーあ。
でも、私は満足でした。これが2回目です。
次回に続きます。