インド式の掛け算が強力に使える! 思わず事故りそうになった感動の計算法

10年以上前のことです。当時私は車で1時間ほどかけて通勤する学校に勤めていました。

ラジオから流れてきた数学

math

朝、車の中のお供はAMラジオでした。ラジオから流れてくるいろんな情報は、私の授業の雑談のネタの源でした。

ある日、ラジオから流れてきたのは数学、いや算数の話でした。

10の位が同じで、1の位の和が10になる2つの数の掛け算は、簡単にできる。
10の位の数と、それに1を足した数を掛け算して、その隣に2つの数の1の位の数の積を書き並べれば、それが掛け算の答えになる。

例えば、43×47のような計算です。10の位が同じ数、1の位の和が10です。

この場合、10の位の数が4で、それに1を足した5を掛け算すると4×5=20。

1の位の積は3×7=21なので、求める答えは2021です。

インド式の計算

これは当時流行していたインド式の計算法です。確かにこの方法なら、2桁の掛け算が暗算でできます。

へえ~、すご~い!簡単ですねぇ〜。

これが通常の人々の反応だろうと思います。

しかし、私は数学の教員です。曲がりなりにも、数学で飯を食っています。

「何故それで出来るんだ!?」と考えなければ、失格です。当然、そう考えました。

頭の中で証明をはじめた

a, b, c を1桁の整数とし、2つの数

10a+b, ~ 10a+c

を考えます。

(10a+b)(10a+c)=100a^2 +10a(b+c) +bc

いま条件より、 b+c=10 ですので

(10a+b)(10a+c)=100a^2 +100a +bc = 100a(a+1)+bc

つまり、10の位の数であるaと、それに1を足したa+1をかけて100倍したものと、1の位同士の積bc の和ですから、ラジオから流れてきたやり方で確かに答えが出ます。

なるほど!すごい!

一人で車を運転していた私は、思わず叫んでいました。

え?運転中?

そうです。私は運転中だったんです。車を運転しながら、頭の中で数学の証明をしていました。

完全に運転に専念していません。違反です。犯罪です。極悪人です。

私が運転する車の前を、自転車が横切ったときに、はっと我に返りました。

危険です。もう少しで自転車を轢いてしまうところでした。人を殺めてしまうところでした。

みなさん、くれぐれも運転中に数学の証明をしてはいけません。数学は凶器です。ケイタイを触りながら運転するよりたちが悪いです。

使う場面はたくさんある

10の位が同じで、1の位の和が10という、かなり厳しい制限のついた場合での計算法ですが、かなり使えます。

例えば、nとn+1の積が1332である自然数nを求めるという問題が出たとします。

nとn+1の積ですので、nの2乗と近い数になりますよね。なので、nの2乗が1332に近くなるような数を探してやれば、答えは見つかります。

30\times30=900, 40\times40=1600。これは小学生でもわかります。なので、nは30と40の間にあります。

35\times35がすぐ計算できるのがわかりますか。10の位が同じで、1の位の和が10です。

速攻で 3\times4=12, 5\times5=25より1225です。

つまり、nは35より大きい数です。

あとは、35\times36, 36\times37, 37\times38と計算していけば、最悪でも5回で答えが出るはずです。

1の位が0である数の2乗は小学生でも計算できます。

1の位が5である数の2乗はインド式で暗算できます。

これで探す答えの範囲をかなり絞ることができるんです。

ね、すごく役に立つでしょ!

日常生活?それはどこの国の言葉ですか?