部活動の週休二日は誰のため?頑張りたい者が頑張れない制度です。

こんにちは!日常価値向上研究所所長のヒロタです。

この記事は、部活動の週休二日制について考察しています。

この記事を読むことで、部活動の週休二日制が抱える問題点を考えるきっかけになりますよ!

ですので、ブックマークをつけて、何度も読み返しながら日常の価値を向上してみてください。

部活動の週休二日制

 スポーツ庁は3月、中学校の運動部活動の総合的なガイドラインを示し、「週2日以上の休養日(土日は1日以上)」を基準と明記している。時期は明記していないが、速やかに改革に取り組むよう求めている。20年前にも文部省(当時)が通知で「週2日の休み」を求めたが、定着しなかった経緯がある。この反省から今回、都道府県の他にも市区町村教委や各学校、私立校を運営する学校法人などに対し、国のガイドラインや都道府県の方針を元にするなどして方針の策定を求めている。

先日、福岡のローカル情報番組でも、部活動の週休二日制について特集が組まれていました。

「ブラック部活」などマイナスな表現が先行し、部活動の週休二日制や練習時間の短縮が声高に叫ばれています。

はっきり言って違和感しか感じません。初めはこの違和感がどこから来るのか分かりませんでした。頭の中を整理して、この違和感について考えたことを書き綴りたいと思います。

誰のための週休二日制

練習時間が長くて、勉強する時間がない。土曜も日曜も部活につきっきりで、顧問の先生の休みがない。生徒たちが休息する時間がなくて、健康面で心配だ。など、いろんな理由が挙げられています。どの理由ももっともなものです。

でも、みんながみんな、そう思っているんですかね。少なくともわたしは思ってなかったりするんです。うちの息子は思ってなかったりするんです。

部活動を取り巻く状況を4つに場合分けする

部活動を取り巻く状況を、乱暴に4つに分けてみました。
  1. 生徒は頑張りたくない、先生は頑張りたくない
  2. 生徒は頑張りたい、先生は頑張りたくない
  3. 生徒は頑張りたくない、先生は頑張りたい
  4. 生徒は頑張りたい、先生は頑張りたい
はい、分かってます。非常に乱暴な表現です。オンかオフ。でも、議論するなら極端にいかないと。

でも、みんながみんな、そう思っているんですかね。少なくともわたしは思ってなかったりするんです。うちの息子は思ってなかったりするんです。

部活動を取り巻く環境の因子として、選手である生徒と指導者である先生が考えられます。これに保護者だったり場所の問題だったり、いろんな因子が考えられるのですが、今回はシンプルに生徒と先生だけで。

1 生徒は頑張りたくない、先生は頑張りたくない

これは簡単ですね。やらなきゃいいんです。生徒も先生も頑張りたくないのなら、わざわざ休日に練習もしないだろうし、平日の練習時間も長くはならないでしょう。このケースが今回の問題に当てはまることは絶対にありません。

2 生徒は頑張りたい、先生は頑張りたくない

3 生徒は頑張りたくない、先生は頑張りたい

はっきり言って、今回問題になっているのはこの2番と3番のケースです。

頑張りたい生徒に対して、休みが欲しいとか、授業の準備の時間がなくなるとか言っている先生。それが悪いのではなく、生徒の熱量と先生の熱量が釣り合っていない不幸。

全く逆の、生徒はそんなに燃え上がっていないのに、熱血でガンガン指導して強豪校の仲間入りをしたい先生。だから生徒から「勉強できない」とか「体の調子が」などという不満が出る。こちらも生徒と先生の熱量が釣り合っていない不幸です。

4 生徒は頑張りたい、先生は頑張りたい

わたしが強く不満を感じるのが、この4番のケースのことを全く考慮されていないということです。

あ、誤解される前に言っておきますが、わたしは1番もしくは2番の立場で発言していますよ。わたしが学校にいる時間なんて、短いもんです。部活で練習している時間なんて、平日は長くても1時間半程度。完全下校時刻まで学校に残ってるなんて、鍵閉め当番の日くらいです。

わたしはそんなやる気のない教員ですが、周りで頑張ってる生徒や先生の姿を見て、この週休二日制や練習時間の短縮を強制することに怒っています。

頑張りたい生徒がいる。頑張らせたい先生がいる。保護者も同意している。なのに、制度によってそれが制限されるのはどうしても納得できない。

頑張りたい者がいて、チームの中で頑張りたくない者がいて、足を引っぱられる状況はこれまでにもいくらでもありました。どこにでもある状況です。1番の状況は論外として、2番と3番には少なからず頑張りたくない因子がある。そのために週休二日制にしたり、練習時間を短縮したりするのであれば、そいつらだけでやればいいじゃないですか。

やる気に満ちた者たちを、やる気のない者が足を引っぱる。その足を国が一緒になって引っぱっているのが今回の状況だと思うんです。

生徒は練習をしたいと思っている。先生も練習をさせたいと思っている。それを国が許さない。時間も場所も提供しない。理由はやりたくない者がいるから。こんなマイナスな話ってありますか。

何でもかんでも禁止にすりゃいいってもんじゃない

やりたくない人がいるから、やりたい人も巻き込んで全面的に制限。これって乱暴ですよね。

お酒が苦手な人がいるから、飲酒運転とか健康への配慮とかそれらしい理由をつけて、全面的にお酒を禁止。
たばこが苦手な人がいるから、受動喫煙とか健康への配慮とかそれらしい理由をつけて、全面的にたばこを禁止。

これと同じじゃないですか。実際にお酒やたばこが国を挙げて禁止にならないのは、お酒やたばこで国に税金が入るから。部活動を禁止しても国に入るお金は変わらないもんね。

やる気のある子が苦労している

部活動を頑張りたい、部活動を頑張らせたい、そういうやる気のある生徒や先生がいる。でも、国が制限を掛ける。やる気のない者に合わせる。

そうすると、やる気のある選手は学校以外で練習できる場を求めるんですよ。学校の部活動が終わったあと、自分で移動して自分で場を求めて、練習をするんです。学校で練習できればそんなことは全く必要ないのに。

やる気のない者に合わせて、やる気のある者がしなくてもいい移動をする。移動のためにかかる時間が無駄です。移動のためにかかる交通費もあるでしょう。学校以外の場で練習するために、その対価を払う必要も出てくるかもしれません。

この制度で得をする者

週休二日制で部活動の練習時間が減る。このことにより、得をするのが誰なのかを考えてみました。

国が「部活動を週休二日にしなさい」「平日の練習時間を減らしなさい」と言って、すぐに従うのが公立の学校です。公立の学校は部活動の練習時間が減ります。

「練習時間が短いのなら、工夫をすればいい」と寝言を言う人がいますが、長く練習する学校が同じ工夫をすれば、結局は練習時間の長い方が上達します。

つまり、公立の学校が弱くなり、長く練習できる私立の学校が強くなる。

さらに、みんながみんな私立の学校に行けるものではありませんよね。多くの生徒は公立の学校に行きます。総じて練習時間が短くなれば、嫌でも競技レベルが下がります。海外のチームと戦って勝てなくなります。

つまり、日本のスポーツが弱くなり、オリンピックや世界選手権で勝てなくなる。

この制度を推進しているのが、私学に優秀な選手を集めたいと思っている人、もしくは政府の中に入り込んでいる外国のスパイなんじゃないか、というのは考えすぎでしょうか。

頑張りたい人が頑張れるように

頑張りたくない人が強制的にやらされる、という状況はやはりよくありません。しかし、そのために頑張りたい人が頑張れなくなるのは絶対に違う。線引きは難しいのかもしれません。でも、国が「ダメ」と言ってしまうと何もできなくなる。頑張りたい人が頑張れるように、自由度の幅を広げて欲しい、と心から思っています。

雑感

Posted by Hirota