大学入試英語民間試験の実施見送りは何故?




令和元年11月1日未明、衝撃の発表がありましたね。

大学入試英語民間試験の実施を見送るというものでした。

わたしはこの制度については反対の立場だったのですが、実施見送りとなると、またたくさんの問題が出てきます。

そもそも必要だったか

そもそもこの制度、必要だったんでしょうかね。

民間に委ねる必要性

現在はセンター試験の問題を大学入試センターが作成しています。

正確には、大学入試センターが委託した大学の先生なんかが作ってます。

大学入試の問題を、受け入れる側の大学の先生が作る。めっちゃ当たり前の話ですよね。

今までそれでやってきて、「次から民間にやらせる」ってのは、大学入試センターやそれを作った大学の先生たちに対するダメ出しにしか受け取れません。

センター試験では英語の能力を測れないのか

今までやってきたセンター試験では、受験生の英語の能力って測れないんでしょうか。

じゃ、センター試験が始まって30年間、能力を測れないテストで測られた受験生が大学生になってきたということですね。

それとも、ここ最近のセンター試験の問題で大きな失敗でもあったんですかね。

新しい評価をするために新しいテストの形を導入するから、民間の力を借りるということですが、「センターの力じゃ無理!」って言っているんですよね。これは失礼だよなぁ。

それとも、大学入試センターがギブアップしたんでしょうか。それは無いと思うんですけど。

決まったことだからやる

大人だから決まったことはやる

でもね。大人だから決まったことはやるんですよ。文句は言いますけど。

何より、やらなかったら生徒が不利になる。

「俺は反対だからこんなことやらない!お前たちもこんなテストで点数取らなくていい!大学!?そんなのは小さいことだ!」

こんなこと、絶対言いませんよ。人として。

民間業者

決まったことだから、民間の業者もたくさんの準備をしますよね。

システムの準備

新しいことをやるんだから、それに対応するシステムの準備は不可欠。

「準備しろ」

「はい!」

「できたか?」

「できました!」

こんな簡単にできるはずない。かなりの時間と労力、そしてお金がかかってるはずです。

会場の準備

大学入試を受ける受験生を大量に受け入れるんです。会場の確保も大変です。

競争に勝つための準備

民間がやるんです。企業がやるんです。

採算度外視なんてとんでもないこと。利益をあげなきゃです。

競争に勝たなきゃです。

他社との違い、自社のメリットをアピール。広告、宣伝にもすごく労力とお金がかかってるはずです。

教員

受験生と直接関わっている教員も、たくさん準備をしています。

書類の準備

この制度のために、現在の高校2年生は英語民間試験のID登録をしなければならないんです。

11月から登録開始。そのために、生徒は願書のようなものを書くんです。大学入試の願書みたいなやつ。

当然、入試に関わる書類ですから、生徒に配って「書いておけ」ではダメですよね。

下書きをさせ、細かくチェックし、書き直しをさせ、清書させ、申請の日に間に合うように回収。結構な労力です。

生徒や保護者に向けての説明

英語民間試験とはそもそも何か。

それぞれの検定試験はどう違うのか。

どの検定試験が有利なのか。不利なのか。

いつまでにどのような手続きが必要なのか。

生徒が分かっているだけじゃダメです。保護者にも説明会を開きました。

説明するためには、教員側も完全に理解しておく必要があります。

かなりの時間を費やしました。

検定試験を見据えた授業や講座の準備

新しいテストがある以上、その内容についてできる限りの情報を集め、対策をしなければなりませんよね。

通常の授業とは別に、課外授業で検定試験対策の講座を実施してきました。

英語科の先生たち、大変ですよ。授業ってテキスト読むだけじゃないですからね。

1時間の授業のために何時間もかけて準備するんです。教員って。それが通常の授業と別口で増えちゃうんだから。

生徒

業者も教員もそうですが、誰よりも大変なのは生徒です。

何を問われるかわからない中で学習する不安

新しいテストです。いわゆる「過去問」がない。情報がない。対策のしようがない。

英語四技能とか言われてますけど、何を問われるかわからない中で学習する不安は大きな負担ですよ。

だからといって、今までのセンター試験の英語が無くなるわけではない。単純な負担増。

彼らは勉強するのは英語だけじゃないし。

勉強することは大切

間違っちゃいけないのは、勉強するのは大切なんです。読む、書く、聴く、話すことができるようになるのは大切なんです。

自分の意思で遠回りするなら問題ない

「技能を身につけることは大切なことだから、大学入試に関係有る無しに関わらず勉強する」

これを自分の意思で決めた子がその勉強をして、大学入試に遠回りをするのは全く問題ないことです。

大人の不手際で遠回りして不公平が生じるのは問題

「令和2年度入試から英語民間試験をやる」って文科省が言ったんですよね。

大人が決めたんですよね。

決まったことはやりますよ。

真面目にその対策に取り組んで、時間を費やしてきた真面目な生徒がいる。

英語民間試験の事なんて全く気にせず、他の勉強に時間を使った生徒がいる。

「やっぱりやめた!」と大人が梯子を外して、損をしたのは真面目にやった生徒なんです。

大人の不手際で真面目にやった者がバカを見るって、一番ダメな世の中ですよね。

何故こうなったのか

何故、今回こんなことになっちゃったのか。考えてみました。

「身の丈」発言

文部科学大臣が不適切な発言をしましたよね。あれが原因だとか言われてます。

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文科省の発表にも「格差」とか書いてあります。

でも、大臣の失言くらいでこれだけの大事業をやめたりするはずないです。失言の責任を取るなら、辞任して終わりでしょ。

校長会の反対

英語民間試験には、高等学校の校長会も反対してました。

その反対意見が通ったという見方もあるようです。

これも、どうかなと思います。だいたい、これだけ大きい事業を校長会の反対くらいで国がやめるはずないです。

業者がギブアップ

これが最も有力なのでは。

業者が場所を確保できなかったんですよ。

民間の検定業者が試験の日程と場所を決定する期限が11月1日でした。つまり、今日です。

受験生を全て受け入れる場所と日程が調整できなかったんですよ。きっと。

受けられない受験生がいる以上、全員に課すテストが実施できるはずないですから。

業者のダメージ

業者は英語民間試験にむけて、大きなエネルギーとお金を費やしてきたことは想像に難くない。

その中でも気になるのは「英検」です。

英検の返金問題

いくつかある検定業者のうち、「英検」だけが早期より申し込みを受け付け、「予約金」の支払いを課しました。

キャンセルする場合も、定められた短い期間内でなければ返金しないという、結構ハードな条件です。

でも、たくさんの高校2年生が「英検」に申し込んでいます。

しかし、英検はいつまで経っても検定日が決まりませんでした。

予約金

「予約金」ってのは、言ってみれば「運転資金」ですよ。

「英検」は、予約金の名目で、受験者から運転資金を調達できるんです。しかも無利子で。

ここからはわたしの勝手な仮説。

「運転資金」ならぼ、英検はこの予約金を既に使っちゃってたりしませんかね。

だって、行われるはずの試験なんだもん。予約金なんだから、「英検」に入るはずのお金なんだもん。

キャンセルなんて、そんなに出るものでもなかろうし。

じゃ、使うでしょ。

でも今回、英語民間試験が無くなりました。当然、全員キャンセルでしょう。全員返金です。

わたしの仮説が当たっちゃってた場合、「英検」のダメージってとんでもなくないですか。

いろいろなしがらみ

まあ、いろいろなしがらみがあって、「やる」と言ったり「やめた」と言ったり。

どっちに転んでもたくさんの人に迷惑をかけてしまいます。

でも、今回のやつはダメなやつでしょ。

ま、生徒は気持ちを切り替えて、前に進むしかないのですけど。