古賀稔彦先生講演会|「夢の実現」〜挑戦することの大切さ〜
平成の三四郎、古賀稔彦先生の講演会に行ってきました。
古賀稔彦先生講演会
平成27年7月25日(土)、佐賀県唐津市の唐津シーサイドホテルにおいて、バルセロナオリンピック金メダリストで、古賀塾塾長の古賀稔彦先生による講演会が行われました。息子1号と2号を引き連れ、お話を聞きに行ってきました。
講演に先立ち、古賀先生のヒストリーDVDが上演されました。オリンピックでご自身が金メダルを取られたことや、選手を引退した後に全日本のコーチとして谷本歩実選手を指導し、金メダルに導いたこと、古賀塾を開き、柔道を通じて青少年の健全育成に貢献されていることなどが盛り込まれていました。改めて、選手としても指導者としても素晴らしい活動をしてこられたということがよく分かります。
DVDの中で印象的だった言葉が
「金メダルを取りたい」ではなく「金メダルを取る」
ということでした。「取りたい」という希望や夢ではなく、「取る」という明確な意志、強い気持ち。これが上を目指す者として必要な気持ちの持ち方なのだと感じました。
惹きつける魅力
いよいよ講演が始まり、どのようなお話が聞けるのかとワクワクしていました。
オープニングトークから観客をいじったり、自虐的に笑いを取ったり、一気に会場を自分のペースに引き込み、観客を惹きつけました。観客を惹きつける魅力、会場を巻き込むオーラは、さすが一流です。すごい。
どこの世界にも「天才」と呼ばれる人はいる。日本のスポーツ界で「あの人は天才だ」と言える人はいるか?
プロ野球といえばイチロー。プロゴルファーといえば松山英樹、石川遼。テニスといえば錦織圭など。
柔道ではもちろん古賀稔彦(笑)
天才とは普通ではできないことをやれた人をいう。天が与えた才能。
しかし、人間一人ひとりの中に隠れた才能がある。誰かよりも少しだけ○○ができるというのは誰にでもあること。
それを引き出すためには、自らが挑戦すること。挑戦する前に自分の頭で考えて、自分で答えを出して、その才能を潰してしまう。諦めてしまう。頭で出した答えと、挑戦をした後の答えは全く違うことが多い。頭の中では努力、苦しさ、喜び、を実感することができない。多くの仲間を作ることができない。
実際に挑戦して、多くの仲間を作る。努力の大切さを知る。
いきなりフルスロットル。聴衆の心を鷲掴みにする言葉がポンポン出てきます。
もともと私は「天才」と呼ばれるような子どもではなかった。病弱で軟弱で青白い顔をした子どもだった。
小学校1年生のときに柔道を始めた。理由は「友達が始めたから」
柔道を始めて半年で最初の試合。簡単に投げられて負けた。悔しかった。自分が強くならなければ勝てないということを知った。
父親に「強くなりたければ、相手の選手が寝ている間、遊んでいる間に頑張れ」と言われ、朝練を始めた。150段の階段。毎朝7往復。家の庭に鉄の柱を立てて、自転車のチューブを巻きつけ、打ち込みをしていた。続けることができた理由は、父親が一緒に起きてくれて、一緒に走ってくれたから。
県でチャンピオンになる人は県で一番頑張った人、日本で一番になる資格があるのは日本で一番頑張った人、世界で一番になる資格があるのは世界で一番頑張った人。
子どもたちの努力だけでは、夢は実現できない。大人の協力が必要。
頑張った分しか結果は出てこない。チャンピオンになりたければ、それと同じだけの努力をして欲しい。
子どもたちも目がキラキラです。明日の朝から階段を走ろうと思っている子がたくさんいます。早起きにびびっているお父さんがたくさんいます。
プレッシャー
プレッシャーに負ける人もいるが、考え方一つで、自分の力に変えることができる。
自分さえ良ければいいと思っている人は、自分の力を100とすると、最大で100の力しか出ない。
周りの期待をあえて自らが背負う。その期待を背負う瞬間が大切。
期待を背負わなきゃならない、と思っている人は重く感じる。背負いたくなくなる
自ら背負う気持ちの人は、その重みを前向きに受け止めることができる。
古賀先生はここでステージに観客を2人上げて、「プレッシャーを背負う」ことの実験をされました。大変分かりやすい例えで、すごく腑に落ちました。確かに、プレッシャーを背負うことで自らの力に変えることができるんです。
「決心」という言葉は大事な場面で使う言葉。「決心」をした瞬間、何事にも前向きに取り組もうという気持ちになれる。
自分のためだけではなく、仲間のため、家族のためにも頑張ろうと思って挑戦することが大切
このとき、客席で聞いていた私に、古賀先生が質問をされました。
今までの人生で、あなたが「決心」をした場面はいつですか?
私は「子どもが生まれたとき」と答えました。自分だけでなく、家族のために、子どものために頑張ろうと思うようになる。まさにその通りです。
一流の選手が、勝利者インタビューに答えるとき、「自分が頑張れたのは、自分を応援してくれた、サポートしてくれた方々のおかげ」と、周囲への感謝の言葉が素直に出てくる。
期待から逃げる自分ではなく、期待を自分から背負うことができる選手として頑張って欲しい
ソウルオリンピック
柔道は普段注目されないが、オリンピックの時だけは注目される。
初めて出たソウルオリンピックのときに、たくさんの人たちに注目された。出国時の成田空港は、応援の見送りで歩くことすらできないほどの盛り上がり。負けて帰ってきたら空港は走って行けるほどに誰もいない。全く誰も相手にしてくれない。人間不信。
部屋でテレビを見ていると、ソウルオリンピック総集編で自分の負けた試合が流れていた。負けた瞬間に観客席の両親の姿が画面に映った。
親は勝っても負けても自分の姿を見ていてくれると思っていた。自分が負けた後、両親は観客席に向かって頭を下げ、お詫びをしていた。その姿を見て、本当に申し訳ない気持ちになった。両親の姿を見たとき、戦っていたのは自分一人ではなかったことに気づいた。
負けたショックは大きかった。しかし、人間は一人ではないんだという大きな財産を得ることができた。
敗戦から学ぶことは大きい。しかし、その学びに気付かなければ、敗戦はただの負けに過ぎません。気付く力、学ぶ力が最も大切ですね。
塾五訓
古賀塾では、当たり前のことを当たり前に。当たり前の大切さ、当たり前の難しさを学んでいこう、と指導している。
嘉納治五郎先生が残された言葉
「精力善用 自他共栄」
人として生まれてきたからには、人の役に立ちなさい、ということ。
古賀塾の塾五訓
- ハイという素直な心
- ありがとうございますという感謝の心
- 私がしますという奉仕の心
- すみませんという反省の心
- おかげさまという謙虚な心
塾五訓をみんなで復唱しました。どれもみな大切な教えです。常に心して生活していきたいですね。
当たり前のことを当たり前にやっていくこと。
これは、いつの間にか自然に出来ていくものではない。
目の前にあるゴミをつかめない子が自分の夢をつかめるのか。
この言葉には本当にしびれました。勝負の世界だけではなく、人それぞれに抱いている夢があると思います。目の前に落ちているゴミをつかんでゴミ箱に入れるという、ごく簡単なことができない者に、夢をつかむ資格はありません。
ゴミと夢に関係はないと言うのであれば、その人は100までの力しか出せない人です。100の力を120,150にするのが感謝の心であり、周りの応援です。
本当に良いお話を聞くことができました。ありがとうございました。