「読書」に「マンガ」は含まれませんか?マンガの評価が低すぎると思います

マンガを読むことを「読書」と認めてはいけないんですかね。

読書

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辞書で「読書」の意味を引くと、「本を読むこと」とあります。

辞書で「本」の意味を引くと、「文章や写真、絵などを印刷し、ページを繰って見ていく形にまとめたもの」とあります。

マンガは間違いなく「文章や写真、絵などを印刷」して「ページを繰って見ていく形」にまとめられていますので、紛れもなく「本」です。

つまり、マンガを読むことは「読書」であることは否定できない事実です。

マンガの地位が低い

にも関わらず、マンガを読むことが「読書」だと認められていないのが現状ですよね。

夏休みの読書感想文が宿題で出たときなどは、

先生
読書感想文は、始業式の日に提出ですよ。
生徒
先生、読む本は何でもいいんですか?
先生
はい、本のジャンルは問いません。
生徒
じゃ、マンガでもいいんですか?
先生
マンガはダメです。
生徒
マンガも本じゃないですか。何でダメなんですか?
先生
マンガは認めません。活字の本を読んで来なさい。
生徒
マンガもセリフは活字で印刷されてますよ!

というショートコントが必ず教室で繰り広げられます。

このように、マンガの地位が低いんです。なぜマンガが読書と認められないのか。認めてもいいじゃないか!声を大にして言いたい。学校の先生だけど、これは認めてもいい案件だと思ってます。

くだらない本よりも名作のマンガ

だいたい、活字で書いてあれば何でもいいのに、マンガであるからダメだという意味が分かりません。

活字で書いてあれば素晴らしい文章で、マンガで書いてあれば読むに値しない文章だという意味でしょうか。それはあまりにも不勉強です。

活字で書いてあるくだらない本なんか、掃いて捨てるほどあります。「金返せ」のレベルならいい方。読んではいけないレベルの本もたくさんあります。「時間返せ」のレベルです。損害賠償請求をしたくなるレベルです。

一方、マンガにも「名作」のレベルのものがたくさんあります。「このマンガを読んで人生が大きく変わった」というマンガもあるんです。

柔道部物語

うちの息子1号と2号は柔道をやっているんですが、始めた当初はなかなか一所懸命に取り組みませんでした。しかし、柔道部物語を買い与え、読ませたところ、人が変わったように柔道に取り組むようになりました。

スポーツをやっている人で、自分がやっているのと同じ競技を題材にしたマンガを読んでモチベーションが上がったり、さらにのめり込んだりした人はたくさんいると思うんです。

火の鳥・未来編

火の鳥・未来編は、わたしはマンガの最高傑作だと思っているんです。

究極の未来、文明が進化し尽くした時代に、主人公は火の鳥の生き血を吸って死ねない体になります。核戦争で人類が滅亡しても、主人公は死ぬことができないんです。

孤独と戦いながら、なんとか話し相手を生み出そうと力を尽くす主人公は、人工生命を作ることに失敗し、ロボットを作ることに失敗します。

主人公が最後に行き着いた方法は、海にタンパク質の残骸を捨て、そこから自然に生命が誕生するのを待つという、気の遠くなる選択でした。

人間最後の日から始まり、気の遠くなるほどの時間をかけて生命の誕生、生物の誕生、そして人間の誕生までを全てやり直すという壮大な話です。

この本を初めて読んだのは大学生のときでした。そのときの衝撃は今でも覚えています。何度読み返したかわかりません。

これと全く同じ話を、誰よりも上手に文章が書ける人に活字で書いてもらったとしても、それを読んで同じ感動を得られるか、と考えたとき、「そりゃ無理だ」としか思えないんです。

難しい内容が分かりやすくなる

マンガの特徴として、活字だけでなく絵がメインであるという点が挙げられます。

活字だけの本なら、動きや表情、しぐさなどを活字で表現します。これは、書き手の技量も必要ですし、読み手にも技量が必要です。

マンガであれば、絵で描かれています。すごく分かりやすいんです。

絵で書くから、書き手の技量が要らない訳ではありません。むしろ、絵で物事を表現するのは、文章で表現するよりも技量の要ることだと思います。

しかし、読み手は文章の読解力が低くても、絵で分かる。活字だけなら読める人が限られていた情報も、マンガになることで多くの人に伝わるということも起こりうるんです。

「読む技量を上げるための読書」と言ってしまえば、それはそうなのかもしれません。でも、それがマンガの価値を下げることにはならないですよね。

素晴らしいマンガばかりではない

もちろん、世の中にあるマンガが全て素晴らしいマンガというわけではありません。くだらないマンガも掃いて捨てるほどあります。むしろ、そっちの方が多い。

だから、マンガが全面的に素晴らしい、と言っているんではないんです。これは、活字の本にも言えること。良い物は良い。悪いものは悪い。マンガだから一律ダメ、とか、活字なら何でもいい、とか、あまりにもダメダメすぎでしょ。

読書の力は確かに大事

読む技量を向上させるために、活字の本を読むことは確かに大事です。活字を読んで意味を理解し、想像力を働かせることは、豊かに生きていく上で大切な能力です。

しかし、それとマンガの評価は別問題。「活字を読まなきゃならないからマンガは悪」はあまりにも感性が低すぎです。

間違いなくマンガには娯楽の域を超え、文化や学術のレベルに達しているものも多くあります。読書感想文の課題図書に「このマンガならOK」というものが出てきて然るべきだと思いますがいかがですかね。

 

雑感

Posted by Hirota