デブのくせに有名すぎる文学作品を10ページくらいの漫画で読んだ
先日、コンビニに立ち寄ったんです。
わたしはコンビニではまず本の並ぶ前を歩くんです。そこで売られている雑誌や本を眺め、何か面白い情報がないかを探るんです。
その日、そこで見つけたのは「有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいの漫画で読む。」という本でした。
文学作品にあまり触れてこなかった
わたしは数学の教員です。高校生の頃には国語や英語よりも数学や理科に興味が深く、自分から進んで文学作品に手を出すことはまずありませんでした。
文学作品に触れるとしても、現代文の教科書に載っているものを国語の時間に読むくらい。
有名な「羅生門」とか「山月記」なんかを現代文の教科書で読んだのを覚えていますが、内容が心に残っているかというと、それはありません。
国語の授業で読まなきゃならないから読む。自分から読もうとしているから心に残らない。現代文の教科書に載っているのはせいぜい10ページ程度で、その前後の内容は自分から本を探して読もうとしなければ、教科書だけでは知りえない。
やはり、国語の授業で読むだけじゃ、文学作品の良さは分からないんですよね。
桑田佳祐「声に出して歌いたい日本文学」で興味を持った
数年前、桑田佳祐のアルバム「I LOVE YOU -now & forever-」に収録されている「声に出して歌いたい日本文学」を聴き、めっちゃハマりました。
通勤時間が片道30分。この歌は18分42秒の歌。片道で1回半ほど聴けますので、通勤だけで1日3回聴いていました。
その歌詞は、いわゆる日本文学の一節の寄せ集めです。有名な日本文学の有名なフレーズが軽快な音楽にのって次々に流れてきます。
親が聞くと子どもの耳に入る機会も増えます。息子たちもハマってしまいました。
ネコであ~る~!
名前は~
聴いて頭に残っていると、自然に興味を持つものですね。わたしが自分から文学作品に手を出しましたよ。
今は便利な世の中で、明治や大正の文学作品ならば「青空文庫」を探せばいくらでもタダで読むことができます。
読みました。「人間失格」「蟹工船」「銀河鉄道の夜」「蜘蛛の糸」立て続けに読みましたね。こんなことはわたしの人生では一度もありませんでした。
歌の歌詞から得られる情報は、現代文の教科書の10ページの内容よりはずっと少ないものですが、歌から得られたモチベーションはその何倍も価値のあるものでした。
有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいの漫画で読む。
そのときに持った興味が、わたしの頭の中から無くなっていたわけではありませんでした。
コンビニで「有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいの漫画で読む。」を見つけたときに、なんだか心がワクワクしたんです。
速攻でタイトルをメモって、家に帰ってアマゾンでポチりました。Kindle版を買って、Kindleで読みました。
10ページというページ数は、現代文の教科書の10ページと同じ。でも、その情報量は全く違うんですね。
現代文の10ページは、文字ばかりの10ページ。当たり前ですけど。わたしは高校生のときに国語の授業で羅生門を読み、「門の上で老婆が死人の髪の毛を抜いている」という状況がどうしても想像できなかったんです。
漫画では、もちろん絵があります。絵を見ると、昔の「門」がどのようなものなのかが目で見てわかります。30年近くのときを経て、「ああ、こんな門だったのか」と理解できたんです。
もちろん10ページの漫画ですので、話を端折ってあります。「人間失格」の本編をすべて読んだ後にこの漫画を読むと、「この端折り方は…雑だろ」って思う部分もあります。
でも、間違いなく国語の教科書の10ページよりもたくさんの情報が紺の10ページに詰められています。もちろん、歌のワンフレーズよりも。
有名すぎる文学作品をだいたい10ページくらいの漫画で読む。 (torch comics)
収録作品
収録作品は、
- 太宰治「人間失格」
- 中島敦「山月記」
- 梶井基次郎「檸檬」
- 森鴎外「舞姫」
- 坂口安吾「桜の森の満開の下」
- フランツ・カフカ「変身」
- 宮沢賢治「注文の多い料理店」
- 永井荷風「濹東綺譚」
- 泉鏡花「高野聖」
- 夏目漱石「三四郎」
- アンデルセン「雪の女王」
- 芥川龍之介「羅生門」
- 田山花袋「蒲団」
- 幸田露伴「五重塔」
- 新美南吉「ごん狐」
- 樋口一葉「たけくらべ」
- 魯迅「阿Q正伝」
- 伊藤左千夫「野菊の墓」
- トルストイ「イワンのばか」
- エドガー・アラン・ポー「モルグ街の殺人」
- 菊池寛「恩讐の彼方に」
- 二葉亭四迷「浮雲」
- グリム兄弟「ラプンツェル」
- 夢野久作「ドグラ・マグラ」
- 堀辰雄「風立ちぬ」
言っても漫画です。あっという間に読み終えちゃいます。
絵の感じが「ゲゲゲの鬼太郎」っぽい感じですので、内容と絵があっていないものもあるんです。が、本当に分かりやすく、読んでよかった、と感じています。
Kindleでは少し読みにくい
一つだけ注意を。この作品、Kindleでは少し読みにくいんです。
10ページにたくさんの情報量を詰め込んでいるためか、一コマ一コマの絵が小さめです。文字も小さめです。Kindleの画面では少し辛いです。
この本は紙の本がおすすめ。10ページの漫画で興味を持ち、原作をKindle+青空文庫で読むのがベストチョイスですな。
全て有名な文学作品ですので、原作は確実に青空文庫に収録されています。Kindleの無料本に必ずあります。